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事業部内に学習し続ける「場」が生まれた
──ボッシュのラーニングカルチャーを体現する「XC Dojo」

未来のクルマのソフトウェア集約型システムをワンストップで提供する組織として誕生した「クロスドメイン コンピューティング ソリューション(XC)事業部」では、事業部独自の社内勉強会が毎月開催されています。その名も「XC Dojo」。ボッシュのラーニングカルチャー(学習する文化)を象徴するセッションでは、どのようなディスカッションが行われているのか。XC事業部マーケティング ゼネラル・マネージャー プレチェック フェリックスと広報担当の杉村英子に聞きました。

クロスドメインコンピューティングソリューション事業部
マーケティング ゼネラル・マネージャー

プレチェック フェリックス

クロスドメインコンピューティングソリューション事業部
広報・組織開発担当

杉村 英子

ドメインがクロスするXC事業部。お互いを知るための勉強会が始まった

まずは、「XC Dojo」というネーミングの由来を教えてください

杉村:XC事業部にはさまざまな国籍のメンバーがいるため、世界共通で直感的に「学び」を意識できるネーミングを意識しました。武道で心身を鍛え、お互いが切磋琢磨して学びあう場である道場、すなわち「Dojo」と名付けました。

フェリックス:XC事業部は3つの事業領域が合わさって設立された新しい部署。それぞれの部署がどんな事業を展開し、どんなテクノロジーがあるのか、メンバーがどのような仕事をしてきたのかを知りたいという要望に応えたかたちでスタートしました。

杉村:勉強会を継続して開催するためには運営組織が必要です。そこで私たちのマーケティング部署が、XC Dojoのテーマとなる最新技術、他部署の面白い取り組みや事例を収集してテーマを設定。さらに、テーマと講師を選定して依頼するところまで、運営をサポートしています。

XCの設立もコロナ禍中、現在の多様な働き方も踏まえて、月1回のオンライン配信で開催しています。基本的なタイムスケジュールはメインテーマのプレゼンを1時間、質疑応答に30分とっています。勉強会のテーマは、製品紹介、サイバーセキュリティ、E/E(電気電子)アーキテクチャなど、各チームが開発している製品やサービスに関連する技術から、モビリティマーケットの動向、品質管理、DevOpsなどの開発手法まで幅広いですね。

イベント動画は発表資料とともに後日配信され、いつでも視聴することができます。ボッシュには社内動画サイト「Bosch Tube」があり、録画された動画を全てアーカイブしています。後から視聴する人も多く、直接参加を合わせると100人に達する時もあります。

ボッシュの「学習する文化」。キャリア入社者に積極的に活用

「Bosch Tube」にアーカイブされるセッションは、キャリア入社者のキャッチアップにも役立ちそうですね

杉村:たしかにXC事業部ではこれまでどんな取り組みをしてきたのか、どんなテクノロジーがあるのかなどを、キャリア入社の社員がキャッチアップする上で役立つという声はいただいています。

XC Dojoのような学びの場が生まれた背景は何でしょう

杉村:ボッシュは誰もが学び続ける、しかも何をどう学んでいきたいのかを自らが考えるカルチャーが強いと思います。自主性を重んじるので、上司とも対等な対話が基本姿勢です。
XC Dojoのような自主勉強会が継続している背景の一つだと思います。

フェリックス:近年、自動車業界はテクノロジー的にも大きな変換期にあります。新しい技術を勉強したいという意識は、特にエンジニアは高いですね。勉強の機会があったら、どんどんそれを活用しようという雰囲気につながっています。

ボッシュにはXC Dojo以外にも、社員が研修する場がいろいろありますね

杉村:語学やプロジェクトマネジメント、プレゼンスキルなど、全社的な研修メニューはもちろん、レーダーやECUなどの技術について学ぶテクノロジーコース、開発や品質改善のプロセスを学ぶトレーニングコースなど、さまざまな研修メニューがあります。

「Self-Organized Learning Forums(SOLF)」と呼ばれる、自由なテーマ設定で学べる全社的な自主勉強会もあります。これらは基本的に業務時間内に行われるもので、「ボッシュ・コネクト」という社内SNSで呼びかけられ、対面、オンラインなど形式も様々で、誰でも参加することができます。
このような学ぶ機会を活かして自分のスキルを磨く、他者とともに経験の幅を広げるという姿勢は、ボッシュが大切にするコンピテンスの一つです。XC Dojoもそうした学び続ける文化を背景にして生まれてきたものだといえます。

ボッシュでは、自身が将来どんなキャリアを歩みたいのかを自身で考えなくてはいけません。会社が一人ひとりに提示したりするということはないので、自分のキャリアに必要な知識や技術を自主的に学び続ける必要があります。XC Dojoについても、上司に言われたからとか強制されたからではなく、みな自発的に参加しています。

フェリックス:実はもう一つ、XC Dojoには「スピーカーのスキル向上」という狙いがあります。人前で話すことで知識を整理して、わかりやすく伝えるスキルも身につきますし、参加者から質問を受けて答えることで、新たな気づきにつながることもあります。

とはいえ、登壇者はそれなりの知識や経験が求められるので、チーム内のリーダークラスや組織長クラスの人が多くなります。ただ、アソシエイト(一般社員)にも、専門性の高い知識を持つ人もいますので、登壇をお願いすることもあります。

テクノロジーの変換期にエンジニアは知識を渇望する

エンジニアが勉強する場としては、社外の勉強会や技術セミナーなどもありますが、組織として何かサポートしていますか

フェリックス:業務上での必要性や社員のスキル向上に繋がるのであれば、外部のセミナーやシンポジウムに参加することも積極的に奨励しています。今後はXC Dojoでも社外の有識者を招いて講演してもらう試みも行っていくかもしれません。社外の様々な動向をキャッチアップしながら進めていくという視点は大切だと思います。

XC Dojoを実施することで、どのような変化や成果がありましたか

杉村:こうした勉強会の成果が目に見える形で現れるまでには、やはり時間がかかります。ただ、3つの事業領域から編成されたXC事業部において、少しずつではありますが、事業部としてのチームスピリット、事業部としてのアイデンティティーをメンバーが感じる機会の一つとして、XC Dojoが役立っていると思います。

今後のXC Dojoはどのように進化していくと考えますか

杉村:中期的には対象範囲や規模を小さくしたMini Dojoのようなアイデアもあります。ただまずはXC Dojoへの参加人数を下げずに継続することです。そのためにも、私たちが社員の興味・関心や切迫した学習ニーズを常に捉える。あるいは新しい課題を掘り起こしながら、的確なテーマ設定と内容のレベルアップをしていくことが大切だと考えています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです。(2022年9月26日公開)