PickUp

「育休取得」はライフステージにおける自然な選択
──2回の育児休業を経験して変化した働き方とは

「育児休業が取得できる、ワークライフバランスのとれた会社で働く」ことが、ボッシュを選んだ理由のひとつだった水梨勇河。実際に入社後2回の育休を取得したことで、働き方が変わったと言います。どのような変化があったのか。育休経験者の視点から、働きやすい職場について語ってもらいました。

クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部(XC事業部)
アドバンスドネットワークソリューション部門
システムアーキテクト

水梨 勇河

性別問わず、誰もが当たり前に育休を取得する風土

まずは、これまでの経歴と現在の仕事内容について聞かせてください

2017年に入社し、品質保証や車載ECU間のネットワークを繋ぐゲートウェイ製品のソフトウェア開発に携わっていました。その後、入社2年目のときにデジタルキーエントリーシステムの開発拠点であるオーストラリアに半年間駐在し、海外でのノウハウを学んできました。

現在所属するアドバンスドネットワークソリューション部門は、車両に搭載される電子部品を扱う部門です。私は現在、駐在時に培った経験とコネクションを生かしながら、システムアーキテクチャ設計を担当しています。

実際に手を動かすソフトウェア開発部門にスムーズに作ってもらえるように、クライアントの要求を設計書に落とし込んでいくのが私の役割です。

育休を取得したタイミングとその期間について教えてください

2019年に長男が生まれたときに2カ月、次男が生まれた2022年には4カ月の育児休業を取得しました。

実は、そもそもボッシュに入社を決めた理由のひとつが、ワークライフバランスをきちんととれる環境があるためでした。大学院2年次に留学先で知り合った今の妻と結婚したとき、「将来子どもができたときのことを考えると、育休を取れる会社がいいよね」と話していました。

妻はカナダ人で、日本には子育てを頼れる親族がいません。入社前から育休を取り、子育ては夫婦で一緒にやろうと考えていました。子どもができたとわかったときは、「いよいよ育休を取るときがやって来た!」という気持ちでしたね。

2カ月と4カ月という育休期間はどのように決めたのですか

長男のときは、夜にまとめて寝るようになるまでの期間を2カ月と考えて決めました。しかし、なかなか寝つかない子だったこともあり、やってみると短く感じました。その経験から、次男のときは4カ月にしました。実際には、有給休暇も加えて5カ月間休みました。

育休に入る前は、「空いた時間にこの本を読もう」「この勉強をしよう」と計画を練っていました。でも、そんな暇はまったくありませんでしたね。出産した女性は心身ともに負担が大きく、出産後1カ月は歩くこともままならない。必然的に、私がすべての家事をやっていました。

さらに母乳育児をしていたので、妻は夜中も3時間ごとに起きて授乳していました。妻はもちろん、私も睡眠を十分に取れていなかったので、もし育休を取っていなかったら、眠くて仕事どころじゃなかったと思います。

以前は、育休を「夫婦2人で子育てをする期間」だと思っていましたが、実際は、例えるなら「大変な怪我をした妻のために動く期間」でした。もし私が妻をサポートできなかったとしたら、家事も子育てもさらに厳しい状況になっていたと思います。

育休を取得した際、職場メンバーの反応はいかがでしたか

1回目の育休取得当時は身近に育休を取った男性社員はまだいませんでしたが、みな自然なこととして受け入れ、業務分担を考えてくれました。

今では、育休取得や子育てに関する相談をよく受けます。必ず聞かれるのは、「育休期間はどのくらい取るといいのか」ということ。私も経験した「うちの子があまり寝てくれない。寝かせるためには、どう工夫したらいいの?」といった悩みもよく聞いています。

復職後もさまざまな子育て支援制度に支えられている

育休後の働き方はどのように変化しましたか

育休後の働き方は、「家族優先」にガラリと変わりました。特に次男が生まれてからは、私が長男の保育園の送り迎えに行くため、物理的な制約が発生します。朝と夕方の送迎時間は、顧客訪問や打ち合わせが入らないように業務を調整しました。その分は、子どもが寝た後に仕事をするように対応しています。

長男が育ちざかりなので、妻には次男の育児に専念してもらい、私は長男を毎日のように公園に連れて行きエネルギーを発散させていました。コロナ禍で保育園が休園になることが多く、子どもが2人とも自宅にいることが多かったからです。

ただボッシュは育休取得者のフォロー体制も充実しており、オンラインの座談会に参加したことがあります。育休経験者から復職時の体験談を聞いて「みんな悩むことは同じなのだな」と、少しほっとしたのを覚えています。

また、ボッシュには2016年に発足した「Family@bosch」という従業員コミュニティがあり、育休者同士が育児の悩みを相談したり、情報を交換したりすることができます。復職後の働き方の相談会なども定期的に開催されています。

ベビーシッター補助制度や時短制度、ショートワーク正社員制度(※)など、サポート制度もさまざまありますが、私がよく活用しているのは、子どもの看護休暇です。子どもが2人いる私は年間上限10日間利用でき、子どもの発熱時や通院時などに使えます。1時間単位で取れるので、「朝9時から2時間だけ、子どもの予防接種に行きたい」というときも、仕事への影響を最小限に抑えることができます。こうした制度を活用しながら、育児と仕事を両立させています。

※ショートワーク正社員制度:週の所定労働時間を20時間以上、週3回以上とする(週休4日制を選択できる)制度で、2022年4月から導入された。育児や介護などによりフルタイムで働くことが難しい従業員や、就学などの自己啓発のために短時間勤務を希望する従業員が選択できる。

育休を取った人も周りの人も働きやすい、そんな職場を作りたい

育休経験者として、ボッシュならではの働きやすさをどんなときに感じますか

私が恵まれていたのは、上長が国際結婚をしている2児の父親だったことでした。妻が異国で子育てをする大変さをよく理解しているので、私のキャリアを考えた上で、働き方についていろいろとアドバイスをしてくれました。とても心強かったですね。

男性の育休取得については、社会全体の意識もどんどん変化しています。ボッシュ内での育休取得率も上がっていて、2022年には育休取得者全体の約7割が男性でした。平均取得期間も、多くの人が2~3カ月間取得しています(※)。

※66名中42名が男性の育休取得者。2021年8月~2022年5月末に育休を取得した男性のうち、1カ月以上取っている人が74%(34名)、3カ月以上が28%(13名)。

育休を取得したから見えたこと、良かったことは何でしたか

子育てについてわからないことだらけだった数カ月を、妻と一緒に経験できたことです。
子育てには、24時間一緒にいなければわからない大変さがたくさんあります。母乳をあげることがどう大変なのかも、近くにいなければ実感できない。子育ては一生続くものなので、「あの大変なときを一緒に乗り越えたね」と言い合える関係ができたことが素晴らしい経験でした。その経験を共有できたことが、何事にも代えがたい価値だと思います。

育休経験者として、より改善していきたいと思うことはありますか

2回目の育休取得後、復職する際にチームメンバーが大きく入れ替わっていました。そのため、周りの状況をキャッチアップするのに苦労しました。復職後に1~2週間は「キャッチアップ期間」を設けると、本人にとっても周りにとっても仕事がしやすいと思います。今後育休を取るメンバーのために、復職後のサポートを現場主導で取り組んでいきたいですね。

加えて大事だと思うのが、育休取得者以外のサポートです。例えば、育休取得者の仕事は、必ずSTA(最長6カ月の短期アサイメント)のようなプログラムを使ってサポートを呼べたり、期間限定でメンバーを増やすことができたりなど。経験者として、そうした働きかけや発信を続けていきたいですし、育休取得者と取得していない社員との間でわだかまりや認識のギャップが出ないように、コミュニケーションの場も設けていきたいですね。

復職後のキャッチアップ研修については、育休取得者だけではなく、受け入れ側の上司も受けられるようになっており、とてもいい仕組みだと思います。育休を取りたい人は取りやすく、周りのメンバーは負担に感じることなく働きやすくなる。そんな取り組みにこれからも期待したいです。

最後に、今後目指したいキャリアの展望についてお聞かせください

家族優先の働き方は変えずに、これからはシステムアーキテクトとしてのスキルをもっと磨いていきたいと思います。先輩たちからは「子どもがもう少し大きくなれば時間ができる」と聞いているので、いずれはマネジメントポジションも目指したいですね。

育休を取った人は安心して仕事を離れることができ、取っていない人は活躍の幅を広げるチャンスだと思えるような、双方がハッピーな職場環境を作っていきたいです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです。(2022年11月17日公開)