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ソフトウェアエンジニア育成に向けたリスキリング強化
──大変革を迎える自動車業界で、競争力を高めるために

100年に一度といわれる自動車業界の大変革期の今、ボッシュではソフトウェアエンジニア育成を中心としたリスキリングプログラムのさらなる強化に乗り出しています。どのような取り組みを行っているのか、人事部門の加藤聡一郎、渕上碧が語ります。

人事部門 人材開発グループ
セクション・マネージャー

加藤 聡一郎

人事部門 ボッシュ・トレーニング・センター
トレーニング・コーディネーター

渕上 碧

自動車の新たな価値創造に向け、ソフトウェア領域の人材育成に挑む

ボッシュが、今改めてリスキリングプログラムを強化している背景を教えてください

加藤:ボッシュは創業以来、「人材育成」を重要なテーマとして掲げてきました。時代の変化に合わせ、育成体制や研修プログラムを整えながら展開しています。

自動車業界は今、100年に一度といわれる大変革期にあります。一方で、私たちは「人生100年時代」という、一人ひとりがより長く働く社会を前提に体制を整えていかなければなりません。この相反する状況を乗り越えていくためには、従業員一人ひとりが新しいノウハウや知識をつけ、学び直し続けていくことが欠かせません。

こうした背景から、ボッシュでは約40万人の従業員を対象に、2026年までの10年間で約2800億円を投資して、従業員のリスキリングを実施しています。世界7カ所に研修や学習ツールを提供する専門組織「ボッシュ・トレーニング・センター」を設け、全社的にラーニングカルチャーを促進。日本もグローバル拠点の1つとして、海外の拠点と協力しながらボッシュ・ジャパンの従業員に向けた研修の企画や運営を行っています。

最先端のソフトウェアスキルやコーチングなど、現在の業務とは関係なくとも学べる場を提供し、新たなキャリア形成を切り拓く支援を行うのが設立のねらいです。

渕上:これからのモビリティは性能を向上させるハード面だけではなく、ソフトウェアや通信・ネットワーク領域の知識が重要なコンピテンスになっていきます。快適かつ安全に自動車を運転できるサポートなど、これまでと違った視点での機能が求められるでしょう。

モビリティの技術革新を促進する学びの機会を作ることで、ボッシュが提供できるサービスの幅を一気に広げ、私たちにしかできない技術開発につなげていきたいと考えています。

従業員が目指すキャリアに合わせて、多様なトレーニングプログラムで支える

ソフトウェアスキル強化に向けたリスキリングでは、具体的にどのような取り組みを進めていますか

渕上:まず、ボッシュでは、仕事やロールに対してどのようなコンピテンスが必要なのかがグローバルで定義されています。その定義されたコンピテンスに対して研修が用意されているため、一貫した教育を従業員は受けられる仕組みになっています。

それに加えて、自分でより強化していきたいコンピテンスに対してはボッシュ・トレーニング・センターが提供している研修やeラーニング、自己啓発などさまざまな教育制度を活用することができます。

現在私たちのチームは、よりエンジニアリング領域に踏み込み、現場のニーズに合わせた研修内容を充実させています。基礎を学ぶことが複雑化された将来の技術に対応していくために重要であるという観点から、情報処理推進機構(IPA)が推奨する「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」「情報セキュリティマネジメント試験」などの資格取得に対する支援制度も開始しました。そして、将来的にはキャリアやスキルに関わらず、希望をすれば誰でもソフトウェア開発を学べる研修プログラムを実現したいと考えています。

こうしたプログラムを強化したのは2020年頃ですが、以前からデジタルトランスフォーメーション(DX)領域のトレーニングとして、プログラミング言語「Python」を学ぶ朝活やAI研修などに取り組んできており、すでに社内でも学びの幅やコミュニティが広がりつつあります。

加藤:自動車業界の変革期において、今後はより多くのソフトウェアエンジニアを必要としています。日本のボッシュでも、2023年末までに250人超のソフトウェアエンジニア採用を目指しています。

ソフトウェア開発未経験の従業員に対しても、ソフトウェア分野への挑戦を奨励し、プログラミングについて学び、実際に業務に活かすための機会を提供しています。新たに挑戦する従業員のための研修メニューについては、先行開発部門のエンジニアたちが、ボッシュ・トレーニング・センターと連携して考案しています。

渕上:ボッシュ・トレーニング・センターでは、社外のスペシャリストを招いたイベントや、事業部同士で取り組みを共有し合う勉強会を開催しています。「ブレインスナック(Brain Snack)」と呼び、ランチタイムに30分程度で、社内のエキスパートたちが先生となって、電動化や自動運転などさまざまなテーマで話をします。

どのように自分に合ったトレーニングプログラムを選んだり、参加したりするのでしょうか

加藤:まずは年に3回の上長との面談の中で、一人ひとりの育成計画やトレーニングの受講計画について話し合います。現在の部署でより活躍するために必要となる知識・スキルや、将来的なキャリアの可能性を広げるために必要な経験などについて話し合い、その人のための育成計画を立て、フォローアップしていきます。

ボッシュ・トレーニング・センターが提供している研修については、上長の承認さえあれば、誰でも社内システムから受講申請ができ、すべて業務時間内に受けることができます。日本にいながらドイツの研修も受けられますし、日本からグローバル向けに提供しているものもあります。

渕上:従業員が集まって学ぶ自主勉協会「SOLF(Self-Organized Learning Forum)」も盛んで、事業部のスペシャリストを呼んでワークショップを行うこともあります。また、自らの目標に向けて、仲間とフォローし合いながら学び続ける活動「ワーキング・アウト・ラウド」など、社内の“学びのコミュニティ”は非常に多いと思います。

その他にもeラーニングプログラムや自己啓発などの受講補助制度も整っています。

加藤:ボッシュでは、従業員自身の意思を最大限尊重し、一人ひとりが目指すキャリア上の目標を達成できるよう支援するという考え方を大切にしています。会社が一方的に役割を与えるのではなく、本人が実現したいキャリアについて話し合いながら、担当していただく業務やトレーニングの機会についてすり合わせていくのです。そして、個人の成功と会社の成功を両立することを目指しています。

この理想を実現するためには、従業員本人が自身のキャリアプランについて整理された考えを持っている必要がありますし、会社がその方に対して求めていることを明確にしなければなりません。そこで人材開発グループでは、キャリアワークショップやキャリアデザインプログラムなど、従業員一人ひとりが自身のキャリアと向き合い、自分だけのキャリアプランを明確化できるようサポートしています。

「学び直したい!」に応える環境作りが、ボッシュの技術力につながっていく

学び合うカルチャーが根付いているボッシュならではのトレーニング&リスキリングプログラムが、これからもますます強化されていきそうですね

渕上:従業員の学びに対する意識改革のサポートも、私たちのとても重要なミッションです。「より成長したい!」と研修やSOLF、ブレインスナックなどに参加してくださる方は年々増えていて、変革を日々の仕事で感じています。

スキルや経験値が不足していたとしても、「学び直したい」という本人の意欲に応じてさまざまなチャンスを与えるのはボッシュの良さです。例えば、異動を機に研修や資格試験の勉強、OJTで必要なスキルを身につけ、ソフトウェア領域で活躍しているエンジニアも少なくありません。

私自身もボッシュが2019年に導入した、短期間の社内インターン制度「Internal STA」(※)を活用して、人事企画部で3カ月間、就業規則や人事データに触れる機会をいただきました。その経験を通して培った従業員目線の制度などを企画する考え方を活かし、ソフトウェアやテクノロジー領域の研修のポートフォリオを作成し、トレーニング面から事業部の成長をサポートしています。

※Internal STA (短期社内インターン):社内の人材交流や育成促進の一環として、2019年に正式導入された仕組み。3カ月~半年間、週8時間を目安に希望する部署の仕事を体験できる。社内公募制度による異動よりもハードルを下げ、新しい仕事に挑戦する機会を広げてもらうことが目的。

加藤:新たに学んだスキルを活かして、試験プロセスを自動化して業務効率化につなげた、という例もあります。すでにソフトウェア領域にいる人は活躍の範囲を広げるために、これから挑戦する人は今後のキャリアの可能性をより広げるために、積極的にトレーニングやリスキリングのプログラムを活用してほしいです。

渕上:学びたいと思ったときに、いつでも学べる環境を作っていくことが私たちの重要な役割です。「日々の仕事に追われてトレーニングができない」、「学ぶ意欲が持てない…」などとなってしまわないように、組織として継続的な学びをサポートする仕組みづくりが大切だと考えています。

ボッシュでソフトウェアエンジニアとして働くことに興味を持っている皆さんに向けて、「ボッシュで働く魅力」を改めて教えてください

渕上:ボッシュには、学び続ける風土やそれを実践できる環境があります。ソフトウェア分野に特化した皆さんが、ハードウェアの技術や知見も身につければ、新たな強みとなると思います。

教え合う、学び合うカルチャーが根付いているボッシュであれば、日々のコミュニケーションですら学びの機会につながっていきます。自身の持つ強みと周りの強みを交換し合いながら、これまでにない自動車のサービス、付加価値を生み出していってほしいです。

加藤:ソフトウェアのスペシャリストとして突き詰めていきたい人もいれば、ソフトウェアの知見を活かしてグローバルにリーダーシップを発揮して活躍したい人もいると思います。皆さんが描いているどんなキャリアプランにも対応できるだけの多様な学びの環境が、ボッシュにはあります。

ボッシュには、国内だけでも約40カ国から集まったグローバルなメンバーが在籍し、活躍しています。そうした人材の多様性を活かした組織運営を実現するため、コミュニケーション関連のスキル研修も充実しています。常に世界とつながりながらスキルアップを目指せる環境が、ボッシュの大きな魅力だと思います。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです。