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その道の第一人者を目指して、

バイク用ABS制御を究める。

KOUTA IWAKI
モーターサイクル・パワースポーツ部門
2009年入社
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専攻をとるか、趣味をとるか

16歳から原付バイクに乗りはじめ、大学時代には大型自動二輪免許を取得。バイクが趣味で、一時期は5台もバイクを所有していたほどでした。また燃焼工学を修士まで専攻していたため、将来的には自動車業界に就職したいと思うようになりました。ある日、自動車関係の会社に勤めている研究室の先輩に話を聞いたときのこと。業界や仕事内容についていろいろと話が進む中で、自動車メーカーよりもサプライヤーの方が、より細かなところまで突き詰められると教えてもらいました。もともとひとつの分野を究めていきたいという想いがあったので、サプライヤーの仕事は自分の志向にぴったりでした。なぜ数あるサプライヤーの中からボッシュを選んだのかというと、それはボッシュが独立性を保った会社だったから。特定の自動車メーカーだけではなく、さまざまな企業と関われる点に惹かれて入社を決めました。当時は入社後に配属先を決めることになっており、私は各事業部の説明会へと参加。そこで、バイクの実車適合チームでエンジニアを募集していることを目にしたのです。正直、それまでボッシュがバイクを手がけているとは知らず、驚いた一方で興奮している自分もいました。専攻を活かしてガソリンエンジンの分野へ進むか、大好きなバイクの道に進むか。私は悩んだ末に後者を選択。現在に至るまでバイク用ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)による車体制御の安全装置開発に従事してきました。

いわばバイクに乗るエンジニア

ABSには制御コンピューターが内蔵されており、車輪速センサーを通じて1秒間に200回も前後タイヤの状態を監視し、タイヤが正常に回転しているのか、スリップしているのかを把握しています。それにより急ブレーキ時のタイヤのロックを防ぎ、転倒のリスクを軽減することができるのです。このABSの開発で求められるのは、ライダー視点で考えることを忘れず、天候や道路状態などのあらゆる要因にも左右されない安定した安全性を追求すること。そして、このABSの性能を最大限に引き出し、ひとりでも多くのライダーを事故から守ることが私のミッションです。そのためには、実車でのテストは欠かせません。お客様や車両ごとに要求目標性能が違うため、その要求値を達成するまで、実際にバイクに乗ってはソフトウェアを書き換えることを繰り返していきます。開発をするにあたって理論的にデータ解析を行うことはもちろん、ライダーのフィーリング的な部分をイメージすることも重要です。なぜなら、スポーツ走行を楽しむ人とのんびりとしたツーリングを楽しむ人とでは求める性能も要求値も異なるからです。それぞれの志向を深く理解し、乗る人の気持ちを考慮して性能をつくり込んでいく。経験とスキルが求められる大切な作業のひとつです。

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追うべき背中があるから、努力できる

これまでの仕事で特に記憶に残っているのは、入社して初めて担当したプロジェクトのことです。内容としてはお客様のある車種のモデルチェンジに伴い、ボッシュ製ABSを新型に変更するというものでした。いちばん力を入れたのは、ブレーキ中に後輪が浮いてしまうリアリフトという現象をいかに防ぐかということ。リアリフト現象を防ぐのはABSの持つ機能のひとつなのですが、その適合は困難を極めます。車輪速センサーで得られる情報を駆使して危険なリアリフトを防ぐことができるかどうかは、エンジニアの腕にかかっているのです。お客様との合同テストを何度も行い、プロテストライダーとともに性能を突き詰めて考える日々。そして1年が経った頃、ようやくお客様の望む性能を達成することができました。量産されたそのバイクを街で見かけたときは、うれしさで胸が満たされたのを覚えています。それから月日は経ち、今ではドイツ、インド、アメリカなどの海外拠点のバイクチームに対して指導する立場にまでなりました。しかし、それでもまだ尊敬している上司には及びません。いつか「バイク用ABS制御の第一人者といえば岩城」と言われる日を目指して、今後も努力していきたいと思います。

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