先入観や固定観念にとらわれていると、
新しいものはつくれない。
私の所属するモーターサイクル&パワースポーツ事業部門は、日本がグローバル本部であり、その中で私は新規開発、具体的にはバイク用と電動アシスト付き自転車用のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を開発しています。新規開発では、世の中にないものを作るので、発案から要求事項、ステークホルダー等、すべてゼロベースで考えていきます。その中で大事な視点は、世の中で何が求められていて、どう役に立つのか。例えば、より小さなABSをつくる時に、ただ10%小さくすることを目的にするのではなくて、世の中に求められる形は何かという視点に立つと、実際に達成すべき目標は11%小さくすることであると気づくかもしれません。その目標を、工場や開発チームのメンバーに協力してもらい実現していくのです。そうして生みだされたのが、いま発売されているバイク用ABS Gen10です。このような新規開発に向いている人は、自律している人だと思います。前提や固定観念にとらわれず、何が足りていないのか何が求められているのか、それを自分で考えられる人が強いと思います。